2024年1月から「新NISA」がスタートしました。金融庁の調査によれば、2023年12月末の旧制度の口座数は約2,125万(一般と積立の合計)、2024年6月末の「新NISA」の口座数は約2,428万、NISA口座は1人1口座しか作れないので、6か月でNISA利用者は300万人増加したことになります。口座数のうち、20代の割合は11.3%、これに10代と30代を合わせると29.4%だそうです。また、3月から6月までの増加率は20代が6.9%と一番高く、若い世代でも新NISAの利用者が増えていきそうです。さらにNISAをきかっけに投資自体に関心をもつ人も増えていくと思われます。
昨年、私はFPとして20代前半の方から、「新NISAで積立投資をやってみたいのだが、投資のことは全くわからないので教えてほしい」という相談を受けました。この方は、とりあえず、ネットでパフォーマンスがいい人気の投資信託を選んで始めようとしていたようです。 私は、企業型確定拠出年金(DC)制度の導入研修の講師を数年務めていたこともあり、この相談者には導入研修で必ず行っていた「投資の基本」について、説明させていただきました。
2022年から、金融リテラシー教育の一環として、高校の家庭科で「資産形成」について学習することになりましたが、内容は、まさに「投資の基本」を扱っていますので、将来の資産形成のために、高校生のうちからしっかり身につけてほしいと思います。多数の金融商品の中から商品を選択するうえで、基本的な知識は不可欠となるからです。
多くの人の投資目的は、簡単にいえば「お金を増やしたい」です。「こうして、〇円を〇〇〇〇円にした」というような類の本を私も購入した経験があります。書かれている内容どおり実践すれば、私も著者と同じようにお金を増やせたかもしれませんが、私には実践は無理だという結論に至りました。世の中には、少し偏った成功体験が本やSNSで紹介されることもあるようですが、それを鵜呑みにして、だれでも容易に成功すると思い込むことは危険なことです。一番大事なことは、自分の状況にあった投資をこころがけることです。
資産形成は、投資でただお金を増やすことを目的にするのではなく、自身のライフプランと自身のライフステージに合わせて考えることが重要です。今の自分にあった商品は何かを、自分で判断する力は簡単には身につけられるものではないでしょう。基本的な知識をもとに、色々な情報を入手し、実際に投資経験を重ねることで判断能力は養われていきます。このスキルが「金融リテラシー」です。
2024年8月から、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が本格稼働しています。これは金融広報中央委員会、全国銀行協会、日本証券業協会が発起人となり、「幅広い年齢層に向け、かつ、国民各々のニーズに応えた金融経済教育の機会を官民一体で全国的に拡充していくことを目的」(J―FLECのHPより)とした組織で、今後、金融についての情報提供、無料のセミナー、専門家への相談等の取り組みが予定されています。これらを担っていくために中立な立場の「認定アドバイザー」も用意されていますので、こういった教育の場等も「金融リテラシー」の向上にぜひ積極活用していきたいものです。
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