昨今、大学や短大、専門学校に入学した学生のうち、なんらかの奨学金を受けている学生が過半数を超えているといわれていますが、奨学金制度の中で代表的な制度が日本学生支援機構(JASSO)の制度です。JASSOの奨学金制度は「給付型」と「貸与型」に分けられ、令和3年度で「給付型」は約32万人、「貸与型」は約116万人が利用しています。「給付型」は返還不要ですが、「貸与型」には返還義務があります。「給付型」が受けられる資格は学力基準の他、家計基準が低所得世帯を想定しているため、結果、多くの人が「貸与型」を利用しています。今回は、この貸与型奨学金についてみていきましょう。
<貸与型とは>
「貸与型」には無利子の「第1種」と、有利子(R4実績 利率固定で0.369%)の「第2種」があり、「第1種」の受給資格のほうが、学力基準や家計基準も厳しく、また「第1種」「第2種」」の併用も併用受給資格をみたせば、可能です。なお、「給付型」と「貸与型」の併用も可能です。「第1種」の貸与月額は20,000~64,000円で、進学先の学校、自宅通学か自宅外通学かによって最高月額が決まります。「第2種」の貸与月額は20,000~120,000円で1万円きざみで選ぶことができ、私立医・歯学では4万円、薬・獣医学では、2万円の上乗せもできます。
<返還について>
「貸与型」は貸与終了の翌月から数えて7カ月目から返還開始になります。定額返還では、返還期間は貸与総額によって決まり、例えば240万円貸与なら15年、480万円なら20年(最長)となっています。就職し、ある程度の収入があれば返還もさほど負担ではないでしょうが、収入が少ないと、返還の負担は大きなものになるかもしれません。
<返還が難しい状況になった場合>
卒業後の収入が少ない、傷病のため働けなくなったなど、返還が難しい状況の場合は、救済措置もあるので、早めにJASSOに相談しましょう。返還しないまま延滞を続けると3%の延滞金だけでなく、個人信用情報機関への登録、法的処理(強制執行、給与・財産の差し押さえ)もありえます。また、個人信用情報機関に登録されてしまうと、長期間にわたり、クレジットカードの作成、携帯電話機の割賦支払い等ができなくなり、住宅ローンなども組めなくなることもあるので注意が必要です。
<ライフプランも明確に>
「貸与型」は、将来の夢を実現するための進学資金を調達する方法の一つですが、返還義務のある実質借金です。進学により「借金を返済できる収入が得られるか」、奨学金を申し込む前に卒業後のライフプラン(将来生活設計)を考えておくことも大事です。2021年からは一部の企業で社員の返還額の一部又は全額を支援する制度も始まり、JASSOのHPで導入企業を確認することもできます。なお、奨学金は本人の責任で返還するものですが、人的保証を選択した場合、親が連帯保証人ですので、最悪の場合の親の責任も忘れてはいけません。卒業後の返還がしっかり行われているか、親も見守っていきましょう。
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