株式や投資信託で運用し、運用益等が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)が2024年から新しい制度になります。昨年から、様々なモノの値段があがり、家計に大きく影響を与えていますが、インフレは資産価値の下落ももたらします。そんな時、資産運用は大きな力を発揮します。今回の改革で、若年層から中高年まで、資産形成に活かしやすくなる「新NISA」についてみていきましょう。
<資産運用のコツ>
金融庁の資料によれば、家計金融資産の構成比で、株式や投資信託の保有比率はアメリカ49%、イギリス40%に対して、日本は19%と少なく預貯金の保有比率は53%です。そしてこの20年間でアメリカは資産を2.7倍、イギリスは2.3倍に増やしているのに対し、日本は1.4倍とあまり増やせていません。資産運用を行っているかどうかでこんなに差がつくのであれば、私たちもその運用方法を取り入れて将来に備えていきたいものです。
資産運用では、期待される収益である「リターン」に対してそのブレである「リスク」を忘れてはいけません。このリスクをコントロールする方法が分散投資と長期運用です。金融庁の資料でも、分散投資で5年以内に払い出した時は元本割れもあるが、20年間運用では、いつ預けても2~8%の収益率をあげたという結果が示されています。また、積立投資では投資タイミングが分散されるため、リスクを抑える効果があるともいわれています。
<新NISAはどう変わる?>
① 非課税枠の拡大
通常、運用益には所得税と住民税合わせて20.315%の税金がかかります。100万円の売却益が出たときの税金は203,150円ですが、NISAで運用すると非課税になり、分配金、配当金も非課税になります。
新制度の年間投資額は、「つみたて投資枠」120万円と「成長投資枠」240万円で、両方併用も可能、年間投資枠が最大360万円と大きく増えます。また、生涯投資枠(元本)として1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)が新設され、払い出しをした場合、払い出した分(元本部分)の非課税枠はまた使うこともできるようになり、自由度が高まります。
② 非課税期間の無制限化
今回の改正の大きな変更点として、今まであった非課税期間の制限(一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間)がなくなります。また、新規で投資できる期間の制限もなくなり、恒久化されることにより、いつから運用を始めても長期にわたって非課税の運用が可能になります。
③ 対象商品
「つみたて投資枠」の方は、現行のつみたてNISAと同様の条件の投資信託ですが、「成長投資枠」
は上場株式の他、投資信託には除外対象が設けられ、数が減ることになりそうです。
④ 注意点
現行NISAで運用している資産は新NISAに移すことができず、新制度の外枠で現行の非課税措置の適用になります。また、新NISA口座も1人1金融機関です。NISAで運用できる商品は金融機関で異なるため、運用商品や取引手数料等を調べ、どの金融機関で口座を開設するのか事前によく検討しておきましょう。
資産運用は、「お金に働いてもらう」とよく言われますが、色々な性格の子供たちを長い目で見て大切に育てていく子育てに似ているかもしれません。子供たちが活躍し、成長するには時間が必要です。資産運用も同様に、成績が良いときも下がったときも長期的な視点に立って見守っていきたいものです。
※データは金融庁の冊子から、制度の内容は金融庁のHP(2023年2月現在)に基づいています。
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