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第11回 教育費について考える

 2022年は経済状況が大きく動いた年となりました。家計を取り巻く環境が厳しさを増す中、教育費についての考え方を各家庭でしっかりと持つことが益々必要になってくると思われます。


 令和4年12月、文部科学省から“令和3年度子供の学習費調査”が発表されました。それによると、幼稚園から高等学校まで全て公立学校に進学した場合の学習費総額は約560万円、全て私立の場合約1,809万円という結果になりました(保護者が子供の学校教育及び学校外活動のために1年間に支出した経費の合計,幼稚園は2年間として筆者が合計)。


 公立か私立かは各家庭の教育方針や経済状況によって左右されますが、公立高校を希望していても受験結果により私立高校に進学せざるを得ない場合もあります。高校については、国の「高等学校等就学支援金」(公・私)と自治体独自の私立高校生への補助金制度があり、私立進学の場合は、国と自治体の制度を併せ、世帯年収が概ね910万円未満(子の数や共働きかで違いあり)なら、世帯年収により授業料年額で118,800円~456,00円(令和4年度神奈川県の例)の補助金が受けられます。(実際には学校に支給され、その分保護者の負担が減る仕組み)


 大学の学費については、国立か私立か、文系か理系かで大きく違ってきますし、自宅以外から通学するのであればその費用もかかることになります。文部科学省令によると、国立大学学部授業料の年額は535,800円、入学料282,000円が標準額となっています。一方、私立大学は実に様々です。文部科学省の「私立大学の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、初年度の納付額は、授業料930,443円、入学料245,951円、施設設備費180,186円で合計1,357,080円となっています。これは平均で、理系学部は文系学部より高い傾向にあります。また6年通学する医学部や歯学部では、6年間の授業料、入学料等あわせて1,900万円から4,700万円(関東圏)と各大学で大きく異なります。その他、スポーツや音楽、芸術方面へ興味があり早くから海外に留学したいと希望する場合も、まとまった金額が必要となるでしょう。


 大学進学では、親が負担する以外に子自身が責任を持つ日本学生支援機構の奨学金を利用することもできます。奨学金には給付型・貸与型(有利子、無利子)があり、それぞれ条件はありますが大きな助けになることと思います。大学によっては保護者の年収に応じて授業料が免除になったり、またその先の進路を見据えることにより給付金がもらえたり、特待生制度もあるでしょう。


 お友達が通っているから習い事をする、皆が行くから塾に行くと言った理由で通うのではなく、自分の家庭、自分の子どもにとって必要なものは何かを考え、家計で優先順位を付けることが必要です。教育費はいつどの位必要かがわかっている支出でもあり、家計を見直し、その見直しでできた余剰金を貯蓄に回し将来に備える事で対応出来る場合もあると思います。自ら正しい情報を得ることが何より重要です。すべての子ども達が将来生きがいをもって幸せな人生を歩めるよう、心から願っています


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