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第10回 初めての年金制度~20歳で知っておくべきこと~

 日本では日本に住民票がある20歳以上60歳未満の人は全員、国民年金に加入することになっています(強制加入)。20歳になったら、自営業や学生、無職の人は国民年金第1号被保険者、一定規模の会社等で働いている人や公務員は国民年金第2号被保険者、結婚して第2号被保険者(会社員・公務員)に扶養されている配偶者は国民年金第3号被保険者と、3つに分かれます。なお、留学などで住民票を転出すると、年金加入は強制ではなく任意加入になります。


<国民年金保険料の納付>

 国民年金保険料は月額16,590円(令和4年度)で、第1号被保険者はこの年金保険料を自分で納付する必要があります。第2号被保険者は、もう一つの公的年金制度である厚生年金にも加入することになり、厚生年金保険料として(国民年金部分を含む)給料から天引きされます。第3号被保険者の年金保険料は厚生年金制度全体で負担するので、本人が納付する必要も、配偶者の給料から徴収されることもありません。


<年金保険料の免除・納付猶予・学生納付特例>

 第1号被保険者で、年金保険料の納付が経済的に困難な場合は、免除や納付猶予が申請でき(世帯主等の所得制限あり)、学生の場合は、学生納付特例が申請でき(本人の所得制限あり)ます。それぞれ審査により承認または不承認の結果通知が送付されます。ただし、納付猶予や学生納付特例の期間は受給資格期間に反映されますが、年金額には反映されません。そのため将来の年金額が少なくなってしまいますが、後で追納手続きをすると10年以内なら遡って追納が可能です。


<年金をもらうには>

 老後にもらう「老齢基礎年金」は、受給資格期間(保険料納付済期間+免除期間+納付猶予や学生納付特例期間)が10年以上あればもらうことができます。平成29年8月より前は25年の期間が必要だったので、法律改正により年金がもらいやすくなったといえます。現在、老齢基礎年金は65歳からもらえ、年金保険料を40年間納付した場合の受給額は、777,800円(令和4年度)です。仮に保険料納付済期間が10年の場合、受給額は4分の1程度になります。また、厚生年金に加入していた場合は、老齢基礎年金と併せて老齢厚生年金も受給でき、加入期間や加入中の給料によっては老齢基礎年金よりかなり多くなることもあります。


<未納に注意>

 国民年金保険料を未納するとどうなるのでしょう?未納が続くと、催告状送付や差し押さえ対象になる場合もあります。また、年金制度には、一定の障害の状態になったとき支給される「障害年金」や一定条件の遺族に支給される「遺族年金」もありますが、未納の期間が多いと支給されない場合があります。未納分を後で納付しようとする場合も2年以内の期間分しか納付できません。

 60歳未満の厚生年金加入者が退職して自営業や無職になった場合、第2号被保険者から第1号被保険者への変更手続きを行ない、また配偶者も第3号被保険者であるなら、第1号被保険者への変更手続きをして国民年金保険料を納付しないと、未納になるので注意が必要です。


 年金制度は今後も度々制度改正されると思われますので、厚生労働省や日本年金機構のHPなどで情報を確認するようにしましょう。

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